みたらし垂らした人たらし

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東京の大学生が日常にあれこれ言うページ

「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」東田直樹さんのドキュメンタリーを見て

「感性のマイノリティ」

番組概要

NHKで先ほど再放送されていた、「君が僕の息子について教えてくれたこと」という番組を見た。番組は、東田直樹さん(24)という自閉症を持つ若者が主人公だ。彼が中学生時代に書いた著書「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」という本は、自閉症の息子をもつイギリスの作家デイヴィッド・ミッチェルによって英訳され、世界中の自閉症の子どもをもつ家族に希望をもたらした。本は「なぜ飛び跳ねたくなるのか」など様々な質問に対して、彼が答えるという形式になっている。自閉症の彼自身から紡がれる言葉によって、自閉症を子どもに持つ親は「なぜ子どもがそういった気持ちになるのか、そのような行動を取るのか」ということが手に取るように分かり、大きく接し方が変わったという。

印象的なシーン

番組中で、作家デイヴィッドさんと東田さんが対談する場面があった。その中で、デイヴィッドさんは彼に「お父さんとしてどうやって俺の息子を手伝うことできますか?どうすればいいですか?俺の自閉症の息子に」と尋ねた。東田さんは「僕はそのままで十分だと思います。お子さんもお父さんのことが大好きでそのままで十分だと思っているはずだからです」と答えた。彼は著書の中でこうも語っている。「そばにいてくれる人はどうか僕たちのことで悩まないで下さい。自分がつらいのは我慢できます。しかし自分がいることで周りを不幸にしていることには僕たちは耐えられないのです。思いはみんなと同じなのにそれを伝える方法が見つからないのです」。

 多くの人の力に

東田さんはたくさんの人を助けた。そして、彼の言葉と、この番組は自閉症の人々だけに向けられたメッセージではないと思う。東田さんや、番組に登場する自閉症を持つ人々はこの世の中に強い生きづらさを感じている。ただその生きづらさの中で、懸命に生きているのである。私自身も、この世の中に生きづらさを感じることがある。「人々の視線は刺さるようだ」という東田さんの言葉も、よく分かる。

 感じ方ってそれぞれ…

私は、マイノリティの中には、感じ方のマイノリティもあると思う。まぁ、マイノリティを作っているのはマジョリティであるのだが。実はこれが僕の書きたかったことである。私たちはついつい、他人の物事の感じ方について個性を尊重することを忘れがちである。例えば僕は、休日が2日あったら、1日は誰とも会わずじっとしていたいし、外出した際は、ぐったりと疲れてしまう。外は様々な刺激であふれているからだ。調べてみると私のようなタイプの人のことを、内向型というらしい。(http://www.pojihiguma.com/entry/naikougataningen-no-syohousen)このサイトに書いてあることは、共感できることが多い。人を内向型と外向型の2つに大別すると、内向型は25%なんだそうだ。なるほど。そういうことか。ある部分で、私の感じ方は少数派に入るらしい。今、僕は、内向型の人と外向型の人というタイプがあることを知識として持っているので、これで少しは生きるのが楽になったし、外向型の人がなぜ私とは違う考え方をするのかということも理解できる。

 相手の気持ちを考える 飲み会に行かない人の気持ち

人の気持ちを理解しようとするには、自分と考えの違う人の話を聞いてみると良いのかも知れない。どうしてそう感じるのか。そういったことを聞いてみるのだ。大抵、飲み会に行かないとか遊びに行かないとかいうと、「付き合いが悪い」とか「つまらない」とかステレオタイプに考える人がいるが、僕から言わせてもらえれば、そういった人は圧倒的に人の気持ちを想像する力が欠如している。人の感じ方に正解があると思っている。こうあるべき、こう感じるべきと考えてしまっている。

 

少しでも生きづらい世の中を生き生き楽しくするためには、多くの人々が、自分以外のことについて理解しようと努めることが大切だろう。自閉症の東田さんが書いた著書を読めば、私はきっと自閉症の方の気持ちがより想像できるようになるだろう。

 小中学校における思想教育

ではなぜ、多くの人は、フツーじゃないとか変わっているといってその人の感じ方を否定してしまうのか。それは多くの人が、日本の小中学校というドロドロの共同体で徹底された思想教育を受けてきたからだと思う。「みんなと同じことがなぜできないの?」とか「他の子はできてる」というような、個人より全体が重視されるような共同体である。内藤朝雄氏が主張するように、小中学校の改革なくしてこの国は変わらない。大学生になってこの全体重視な社会は弱まるが、いわゆる「就活」という儀式によってめでたく復活する。あー恐ろしい。

 番組の続編も

この番組はもともと2014年に放送された作品で、その年の文化庁芸術祭でテレビ・ドキュメンタリー部門大賞を受賞している。ディレクターである丸山拓也さんは、ドキュメンタリー受賞10日後にガンと診断された。ガンというハンディキャプを自身も背負ったのである。1年間の闘病後、今年で33歳になる丸山さんは再び東田さんへの取材をすることにした。明日の21時から、この番組の続編が放送される。

 

東田さんは、キーボード配列の紙を打ちながらであれば、会話が可能だそうだ。なぜかと聞かれると、「自分の忘れてしまいそうになる言葉思い出せるからです」「パソコンの変換のように次々と言葉が浮かんでくれるのです」と答えている。伝えたい言葉の頭文字を常に目で確認しておくことで頭に浮かんでいた言葉を記憶に留められるそうだ。彼は語る。

「物はすべて美しさを持っています。僕たちはその美しさを自分のことのように喜ぶことができるのです」

 

番組は次のようなナレーションで締めくくられた。

自閉症の君が教えてくれたこと それは世界を見つめる曇りのない目でした」

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*1:この記事は2016年12月10日に執筆しました